小出裕章助教 第3回インタビュー Powered by ホワイトフード

京都大学原子炉実験所の小出裕章助教にホワイトフードのお客様からいただいたご質問にお答え頂きます。

Q:事故の風化
周りのママ友と話をしていると放射能の問題は完全に風化していて、自分の方がおかしいのではないかと不安になりますが、子どもの食事などどれくらい気をつけると良いのでしょうか?

(小出先生の回答)
大変むずかしいご質問だと思います。事故から2年経って、ご質問くださったように、皆さんも福島の事故などなかったように段々忘れてきてるのだと思います。国や東京電力がむしろ作戦を立てて、事故を忘れさせるように情報を流さないようにしているので、当然のことだと思います。

ただ残念ながら、福島原子力発電事故は全く終息しておりませんし、何とかこれ以上大量な放射性物質をばらまかないように今敷地内では沢山の労働者が被曝しながら、作業を続けております。そして、既に撒き散らささせれた放射性物質は、大地や海に拡がってそこから汚染された食べ物がでてきているわけですから、忘れるようなことはもちろんしてはいけません。十分に注意しながら、特に子どもを被曝から守るということは大人の責任としてやらないといけないと思いますので、注意を続けて欲しいと私は願います。

どんなことでもそうですけども、恐怖というものをずっと継続することは難しいし、できれば安全であって欲しいと皆さん思うはずなので、できれば忘れてしまいたいと思うことが当然なのであって、段々これからそうなっていくだろうなと私は思います。ただ、子どもたちにはこの事故を引き起こした責任がないのですから、やはりできるだけ大人が注意していくこと私はやりたいと思いますし、長い間食品の汚染は続きますので、難しいことだと思いますが、汚染の少ない食糧を選んで子どもに与えるということをやって欲しいと思います。

Q:東京の4月の放射性物質の降下量が高いことについて
東京では今年の4月の放射性物質の降下量が平方メートル当たりセシウムが64ベクレルもありました。事故から毎日空気を吸っているわけですので、積算すると大変な量の放射性物質を吸い込んでいることになります。この東京の4月の降下量をどう考えたらいいでしょうか?

(小出先生の回答)
えー、スミマセンが東京のセシウムの降下量を私は今聞いたばかりです。えー、もしそれが本当だとすると、結構高いと思います。

ただし、この地球、東京も含めた地球が放射性物質で汚れたというのは福島の事故が始めてではありません。1950年~60年代には沢山の核実験が行われて大気中に放射性物質が撒き散らされて世界中に放射能が降ってきた時代があったわけですし、その影響は今でも続いております。日本は北半球温帯という地域に属しているのですが、その日本が受けたセシウムは1平方メートルあたりにすると5千数百ベクレルになっていると思います。そこに4月で64ベクレルが上乗せされた、もしその数値が正しいのであれば、上乗せされたということになるのだと思います。

核実験が行われてから随分長い時間が経っているので64ベクレルというのは何かの間違いではないかと思いますけども、今聞いて頂いたように汚染がゼロということは残念ながらありませんせん、毎日放射能が降ってくる時代に私達が住んでいると思って頂くしかありません。ただ、64が多いと言ったけども、64だとしても慌ていることではない。もうようするに5千数百ベクレル降っていたなかでの64であり、何かそれが大変なことであって、今突然被曝してしまったということとは違うと思います。

Q:福島原発事故由来でない放射能について
魚介類やキノコは福島原発事故由来でないが、セシウム137が1ベクレル/kg以下で検出されると聞いたのですが、どのように理解したら良いでしょうか?また、魚など は子どもに食べさせない方が良いのでしょうか?

(小出先生の回答)
今聞いて頂いたように人間が原爆を爆発させてしまってから、たくさんの核実験が行われてきて、もう地球は汚染されてしまっているのです。福島原発事故がなかったとしても、もう汚れていない食べ物はなかったし、いまご質問にあったように1ベクレル以下の汚染は地球上どこにでもあるのです。日本のお米だって、0.1ベクレルぐらい汚染はどこでもありましたし、他の食べ物はどこでもありました。特にキノコという食べ物に関しては、1kgあたり何十ベクレルというのはずっと前からあったのです。それはもう避けることができません。

魚にしても、そうです。海は大量の水があって稀釈はされているのですが、1kgあたり0.1ベクレルという汚染は殆どどこにでもありました。それよりもひどい汚染もあって、今は福島県の海の汚染が猛烈にひどくなっているわけでそういうところの魚は食べない方が良いですが、先程から何度も聞いて頂いているように大気内核実験というものがありましたし、原子力発電をやるようになって世界の海があちこちで汚れてしまっています。

特にイギリスという国はグレイトブリテン島という島にあるのですが、その対岸にはアイルランド島という島があって、アイリッシュ海という内海になっております。日本でいうと日本海。そこに面したグレイトブリテン島の一角にウィンズケールと私が呼ぶ場所がありました。かつてイギリスの原爆開発を支えた場所で今はセラフィールドという名前に変わっています。そのセラフィールドには原子力発電所から出てくる廃棄物を再処理する工場があるのですが、その工場がこれまでに大量に放射性物資を海に流してきました。これは事故ではありません。工場が正常に稼働するために、海に放射性物質を流しつづけてきて既に広島原発400発分を海に流して来ました。アイリッシュ海は今聞いて頂きましたように内海ですので、放射能の稀釈が思ったように進まないで一時期は1kgあたり370ベクレルという基準を超えて汚れていました。

370ベクレルという今聞いていただいた基準は、1986年に旧ソ連のチェルノブイリで大きな事故があった時に、日本が輸入規制につかった値です。1kgあたり370ベクレルだった訳ですが、アイリッシュ海ではそれよりも前からずっと続いているという状態でした。ですから、魚ももちろん汚染されていますけども、何も食べないと人間は生きていけない訳ですし、どの魚がどれぐらい汚れているということをきちっと知りながら選ぶ。私は大人は諦めてくれと言っているわけですけども、子どもたちに汚染のないものを与えるということを今後もやって欲しいと思います。

Q:放射能対策に良い食品
放射能に勝つことはできずとも、何か放射能対策に良い食品などはありますか。

(小出先生の回答)
放射能対策に良いというご質問が、どのようなことを期待されているのか私には分かりませんが 放射性物質を体内に取り込んでしまえば、それから被曝することを避けられません。そして被曝は有害ですし、それを無害にする、あるいは有益にすることはできません。もしできるとすれば、取り込んでしまった放射性物質をできるだけ早く排泄するということだと思います。

原子力の現場にいる人間としては、かなり特殊な状況で、可能な場合があります。例えば事故で大量の放射性物質を取り込んでしまった時に、薬物の力を借りて取り込んでしまった放射性物質を排出しようということはどこまで有効かという議論はありますが、何がしかのことはありましたし、これからもそういう手立てをとることはあるかも知れませんが、今ご質問頂いた方はこういう事故ではなく、普通の生活をしながらということで、ご質問だと思いますので普通の生活の中で薬物を撮り続けるということは、私はむしろ薬物の害の方が大きいと思いますし、そういう薬物の力を借りないとすると取り込んでしまった放射性物質だけをすみやかに体外に排出するということはまず殆どできないと思っていただいた方が良いと思います。

Q:避難について
小さい子どもがいるのですが、仕事や経済的な理由で、辛いですが避難することができないでいます。線量が高いエリアで、子どもを守るにはどのようなことに気をつけると良いでしょうか。

(小出先生の回答)
被曝を防ぐというときには、2種類の被曝があります。外部被曝という被曝と内部被曝という被曝があります。

外部被曝というのは、外にある被曝を防ぐというために、いくつかあります。 つまり、子供たちが生活する場所をきれいにするということです。例えば、子どもたちが通っている学校をきれいにする。学校の校庭の土を剥ぎ取ってどこかに持っていく。幼稚園の園庭の土を剥ぎとって移動させる。子どもたちが公園で遊ぶなら公園の土を剥ぎとってどこかにどける。もちろん各家庭の庭になって、子供たちがどろんこになって遊ぶ場所であれば、もちろん剥ぎ取った方が良いと思います。

その上で段々わかってきたことではあるのですが、汚染が弱いと思われてる町でも、汚染が猛烈に濃縮している場所があります。私達は黒い物質と呼ぶようになってきましたが、道路の端っこ、建物の端っこであったり、何か雨水がたまりやすく、また乾きやすい場所。それは放射能が猛烈に濃縮した場所です。これはどこにでもあります。みなさんが住んでいる町のどこにでもありますので、それを丹念に探して黒い物質というものを剥ぎ取るということ必要だと私は今は思っています。

ただ今お聞き頂いた手段は、本来であれば、個人個人でやるのはとても大変です。やはり行政にきっちりやらせるということをまずは求めるべきだと思います。

それから次に内部被曝ですが、内部被曝というのは放射性物質を体の中に取り込んでしまって、それから起きる被曝ですから、どうすれば良いかということですが、放射性物質を体の中に取り込まないようにするのが良いのです。体の中に取り込むルートが2つあります。一つは呼吸によるルートで、もう一つは食べ物で食べてしまうということです。

呼吸で吸い込むことをさけるには、マスクで吸い込むのを防ぐしかありません。 ただ、空気中に大量の放射性物質が漂っていたのは、2011年3月11日からほぼ半月間でした。 その期間は大量の放射性物質が漂っていましたので、どなたにもマスクをして欲しいと思いましたけども今はそういう状態ではありません。マスクをするというのはそれなりに苦しいわけですし 子供たちが遊ぶのにマスクを着けて遊ぶというのを私は想像できないのです。 今現在ならば特殊なことを除けば、マスクをどうしてもしなければならないということではないと思います。

ただ、とても風が強い日や子供たちが砂埃の中で遊ぶようなときであれば、一度地面に降り積もった放射性物質が舞い上がってくる。そういった時に限ってはマスクをした方が良いと思います。ただマスクというのは皆さんが期待しているほどの捕集効果がありません。本当にぴったりとつくようなマスクはもちろん高価なものですし、そんなピッタリするマスクは呼吸が困難なわけですし 通常のマスクは要するに空気がつうつう抜けいているので余り効果がないと思って頂いた方が良いと思います。

もう1つは食べ物を気をつけるということであって。ホワイトフードの利用者であれば、できる限りホワイトフードが提供する放射能の値というものを見ながら子どもに対してはできる限り低いモノを与えるということをやって欲しいと思います。ただし、私が願っているのは、どこかの家の子どもを守りたいというのではなくて、全ての子どもを私は守りたいと思っていますので、各家庭が自分の子どもを守るということはもちろん大切だと思いますが、全体の子どもを守れるような方策のために働いて欲しいと思います。例えば学校給食というものがあるのですが、学校給食の材料については細かく調べて汚染の少ないものを与えるということをやるべきだと思います。そのためには、行政、自治体というところに動いてもらうしかないと思います。

最後に一言だけ言っておきますけども、先程から外部被曝をさけるために、学校の校庭の土をはぎとるとか、黒い物質をきちっと調べて剥ぎ取るとか、学校給食の材料をきちっと調べるということが大切だと私は言いました。そして行政や自治体の力を借りるしかないだろう。一番本当のことをいうと、この汚染というものは、東京電力がまきちらした汚染ですので、東京電力にこそ測定させるべきだと思います。自分がまき散らした汚染がどこにどれだけ汚染を広げたのを調べることは、東京電力の最低限の義務だと私は思います。東京電力が知らぬ存ぜぬとして、東京電力の会長社長以下が生き延びているわけですけども、彼らにこそきちっとした責任を取らせたいと私は願っております。

ありがとうございます。質問は以上になります。第3回めのインタビューは以上です。

今後とも宜しくお願い致します。

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